共有の不動産を整理したいとき(共有物分割の方法と手続)

解説不動産関係

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親から相続した実家を、兄弟姉妹で「とりあえず共有」にしたまま何年もたっている。共有者の一人が住み続けていて、ほかの共有者は固定資産税の負担だけが続いている。売りたい人と売りたくない人がいて、話が進まない。

不動産の共有をめぐっては、このようなご相談が少なくありません。この記事では、共有を解消する方法(共有物分割)と、話し合いがまとまらないときの手続を説明します。

共有のままにしておくと困ること

不動産を共有している場合、何をするかによって、ほかの共有者の同意がどこまで必要かが変わります。

すること 必要な同意
不動産全体を売る、建て替える 共有者全員の同意
第三者に貸す(短期間のもの)など、管理に関すること 持分の価格の過半数の同意
雨漏りの修理など、現状を保つこと 共有者がそれぞれ一人でできる

このため、共有者の一人でも反対すると、不動産全体を売ることはできません。さらに、共有者が亡くなると、その持分をまた複数の相続人が引き継ぐため、共有者が増え、話し合いはますます難しくなっていきます。

共有者の一人が住み続けている場合

共有者の一人が不動産に住んでいる場合、その共有者は、ほかの共有者との間で別に取り決めがない限り、自分の持分を超えて使っている分について、ほかの共有者に使用の対価を支払う義務を負います(民法249条2項)。

ただし、対価の額をめぐって話し合いがつかないことも多く、共有が続く限り、同じ問題が残ります。根本的に解決するには、次に説明する共有物の分割を検討することになります。

共有者は、いつでも分割を求められる

共有者は、原則として、いつでもほかの共有者に対して、共有の解消(共有物の分割)を求めることができます(民法256条)。共有者の間で、一定の期間(最長5年)は分割しないと約束している場合は、その期間は分割を求められません。

分割の3つの方法

共有を解消する方法には、主に次の3つがあります。

方法 内容 向いている場合
現物分割 土地を分筆するなどして、物そのものを分ける 広い土地で、分けても使い勝手や価値が大きく下がらない場合
代償分割(価格賠償) 共有者の一人が不動産全体を取得し、ほかの共有者に持分に見合うお金を支払う 住み続けたい共有者がいて、その人に支払う資金がある場合
換価分割 不動産を売却し、売却代金を持分に応じて分ける 誰も住む予定がなく、売却に異論がない場合

建物や狭い土地は、物そのものを分けるのが難しいため、代償分割か換価分割を検討することが多くなります。

代償分割では、不動産をいくらと評価するかで、支払う額が大きく変わります。不動産の評価は、共有者の間で意見が分かれやすい点です。

話し合いがまとまらないとき

共有者の間の話し合い(協議)がまとまらない場合は、簡易裁判所の民事調停を利用して、調停委員を交えて話し合うこともできます。

それでもまとまらない場合や、そもそも話し合いができない場合は、裁判所に共有物の分割を求める訴訟(共有物分割請求訴訟)を起こすことができます(民法258条)。

訴訟では、裁判所が、不動産の性質や共有者の事情を考慮して、分割の方法を決めます。

  • 物そのものを分ける方法(現物分割)
  • 共有者の一人に取得させ、ほかの共有者にお金を支払わせる方法(代償分割)

代償分割が認められるには、不動産を取得する共有者に、代償金を支払う資力があることなどが必要です。住み続けたいと希望すれば、それだけで取得が認められるわけではありません。

これらの方法で分割できない場合や、分割すると価値が大きく下がるおそれがある場合には、裁判所は、不動産の競売を命じることがあります。競売では、通常の売却よりも低い価格になりやすいため、訴訟の途中でも、売却の方法や代償金の額について、話し合い(和解)で解決することが少なくありません。

相続した不動産の場合

相続した不動産を共有している場合は、遺産分割が終わっているかどうかで、使う手続が変わります。

  • 遺産分割で、共有にすると決めた場合:この記事で説明している共有物分割の手続を使います。
  • 遺産分割がまだ終わっていない場合:原則として、まず遺産分割(相続人どうしの話し合い、または家庭裁判所の遺産分割調停・審判)で分け方を決めます。この段階では、共有物分割の訴訟は使えません。

なお、不動産の持分の一部だけが相続財産になっている場合(たとえば、親と子が共有していた不動産で親が亡くなった場合)は、相続が始まってから10年がたった後、一定の条件のもとで、相続財産になった持分も共有物分割の手続の中で分けられるようになっています。

自分の持分だけを売ることもできる

ほかの共有者の同意がなくても、ご自身の持分だけを第三者に売ることはできます。ただし、持分だけでは不動産を自由に使えないため、買い手は限られ、価格も持分に見合う額より低くなりやすいのが実情です。

登記と税金について

分割によって不動産の名義を変える登記の手続は、司法書士が扱います。売却や持分の移転にともなう税金については、税理士にご相談ください。ご希望があれば、当事務所から司法書士や税理士をご紹介します。

ご相談にあたって

共有物の分割では、どの方法を選ぶかによって、誰がいくらを受け取り、いくらを支払うかが変わります。不動産の評価額と持分の割合をもとに、方法ごとの金額を比べることが大切です。当事務所では、不動産の評価額や持分を確認し、代償分割の場合の代償金や、売却した場合の手取り額を試算して、見比べながら方針を決めていただけるようにしています。

共有している不動産の扱いでお困りの方は、お気軽にご相談ください。

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